N022  未練は残さんぞ!?  8月27日
 9月、高津川は禁漁を迎える。最終釣行なのだ。

 平和な禁漁期間を過す為には何かをやらければならない。
それは『頑張った感』『楽しんだ感』を脳細胞に記憶させる為の儀式だ。必要な要素は『疲労』と『食』である。
で、前者を達成するには遠方まで走って朝一から始める事。
後者にはお湯を沸かしてカップ麺を食う事なのである。間違っても菓子パンを買って簡単に済ませる事は許されない。

そしてお魚の数値目標など掲げてはならない。
間違いなく『失敗した感』を記憶する事になるだろう。
 いたく自分を知るわしなのである!?

 すべての準備を終えて出発したのは午前1時過ぎだった。
現地の駐車場で僅かな睡眠を取り、揚々と川に入った。

 見事に干上がった中州に長い長い影を映していた。これは「しつこい先行者」であり、西へ向かう己自身の行動に慎みを持たなければならないが、そんな事は関係なくお魚は釣れなかった。

 この区間の行程を終えようとしていた。
すでに完全に獲物はあきらめていた。そんな訳で「先行者B」のまだ濡れた足跡に、いつもなら邪魔するなー!!となる所だが、ありがたく「ネタ」として頂く事にした。

←「先行者B」の足跡。

 漠然とキャストを繰り返しながら、退渓点を捜していた。
突然、ミスキャストにアタリが出た。ヤマメじゃないだろ?っと寄せて見ると7寸強のヤマメだった。ポイントを確認してみるが、やはりお魚が定位する場所に思えない。
 ワケワカランのでわしらしくヘンナノー?で済ませる事にした。

入渓地点の愛車の手前に他の車が停まっていた。何だろ??
橋の上から川を覗くと不思議なものが見えた。

 焚き火を熾そうとしている二人の若者。これはまあ普通だが、彼等の持ち物である。水中眼鏡、ヤスそれに大きな浮き輪。どう見てもこの場所に相応しくない持ち物に思える。
この周辺では一番深い淵とは言ってもせいぜい胸まであれば良いとこで底までスケスケ、長さは10M程である。何すんの? いいけどさ。

 本流に移動したが、鮎釣師と投網漁師に占領されていた。駐車スペースにはことごとく車が止まっていた。仕方がないので以前から目を着けていた支流に入ろうと移動して見るとその駐車スペースは幸運にも空いていた。本流を移動して支流に入る。

 一歩踏み入れて見ると・・また、かよっ!
灰色の沈殿物。そう、たぶん上流部の伐採だろう。林業の町だもんなぁ
水生昆虫は生きられるのだろうか?
今更引き返すわけには行かず、行ける所まで行こう。疲れなければ『頑張った感』は味わえないのだ。

 意外にも濃かった。ウブだった。しかし、7寸を越える事はなく上へは進めない所まで着いてしまった。そしてまた下る。登る時、沈しそうになった小滝を越え、淵をバレリーナの様に渡り、獣道を歩いた。さらに道を下り橋を渡り、今度は道を登って車に着いた。かなり頑張った。粛々と儀式は進すんでいるようだ。これでホントにええんか?

 既に午後1時、タイムリミットは3時と決めていた。
次の儀式に移らねば、道の脇に車を止めるとコンロを出し、カップ麺を出し、水を出し・・・あれ?水が少ない。どうみても特盛のどん兵衛には不足している。川の水を足すか?濃い目のうどんを食うか?
 そして賭けに出た。『午後の紅茶』をブレンドして見た。3:1だ。
ドキドキの5分間の後、至福の時を迎えた。うまぁ〜い!
『楽しんだ感』におまけまで着いた。ええ調子ぞ。

 残り一時間、久しぶりの川に入った。
支流の大きな流れにはお魚は居なかった。しかし、意外に水量が多く、場所を選べば釣りになりそうな気がする。移動する時間がないので予定通りそのまま小さな支流に入って行った。

 最初のポイントで本命の落込みに入れる前に、手前の石の影に通して見た。一発で食った。へー?あんな所で出るんだ。復習の意味でもう一度通して見た。はへ?又食った。ウッソー!?
本当に小さなポイントの2番目の場所で2匹。濃いいんか?

そんな事はなかった。いや、有ったとも言える。
 つまり、大物が潜みそうな場所はすべて道路から道が出来ていて、お魚はいなかった。その他の小場所では簡単に釣れた。当然、お魚は小さい、ここでも7寸は越えてくれなかった。  かえろー。

←今シーズン最後のヤマメは妙にシンプルパーマークのちび君。


よー頑張った、わし。
珍しいものを食ったし楽しんだはず。目的は達したはず

ともかく本当にしゅうりょーこれでホントにええんか?

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