渓の童子

2014 渓流釣行記

平成26年3月22日 高津川上流部

フィーバー

三連休であった。
天候を見て土曜日の釣行を決める。

前日は、雪が降った様なので遅い出発とした。


下流緩流部にて

峠道に入ると木々に積った雪が気温の上昇で落ち、バラバラと車の屋根を叩いた。

雑木から射す光は浄化され、空の青がいっそう引立つ。

こんな美しい光に包まれていても釣り人の心は煩悩だらけなのである。デケーのはどこにいるんだ?

到着は10時半、デカイのが居るかも知れない2ヶ所の候補地のどちらにも人の姿があった。

水温6℃

仕方なく支流下流部の開けた区間にキャスト練習のつもりで入ってみた。

水温は6℃。今日も厳しいのだろうか。

1投目でチェイス、2投目で良形バラシ、3投目でチェイス、8投目でバラシ。
意外にも高活性である。しかし、初ヤマメは遠いのだ。

このニューロッド、決まる時は凄いが失敗した時も凄い。楽しくも怖いロッドである。

しばらくは開けた川と薄い流れで、お魚の姿は見なかった。

タイミングが良ければお魚が入っているポイントに到着した。

第1投。ミノーが深場から浅瀬に入った所で、黒い影がどこから現れ、手前の急流で消えた。
デカかった、尺は優に超えていただろう。
投入点をやや急流側に移すと、今度は2匹の黄土色の大きな魚体が追って来て、竿先でUターンして行った。

どういう事だ?
このポイントに尺上が3匹居るのは間違いない。こんな事があっていいのか?

尺一寸

 

数投後、ヒット!

春らしくない魚体である。何か違和感があった。

採寸すると33cm。出来過ぎである。

さらに

あら、また釣れた。

傷の多い魚体であるが、厳しい冬を過ごしたのかも知れない。

しかし、頭には一点の疑問が膨らみ始めていた。

3匹目

あ、また。

急流に持って行かれない様に強引に寄せ、石を積んで作った生簀に導く。

この手のお魚が何匹も居るのは、如何にも不自然だった。

疑問は確信に変わっていた。

何らかの理由で放たれた養殖魚が、ウブな状態で私の目の前のポイントに溜まっているのだろう。

まだまだ

3匹釣った所で、止めようと思った。

しかし、奴等に学習させる事が私の今日の務めと思える。 使命感に燃える釣り人は心を鬼にして奴等に立ち向かうのであった。

結局、この生簀に6匹の尺上を入れた。それ以降は即リリースとした。

7匹目は最大魚で急流に持って行かれ、10m追いかけて仕留めたが、急な動きに私の体は付いて行かず、腰をギクッとやってしまう。

まだまだ

それでも教育熱心な私は釣りを続け、さらに3匹追加した。トータル12匹掛けてバラシが2匹、尺に足らない奴が1匹居たので、尺上を9匹釣った事になる。

最大で38cm位だろうか、サイズも数もどうでも良かった。記憶には残るだろうが、記録に留める気など更々ないのだ。

手応えのある釣りは楽しかったが、幸せなのは1匹目だけであった。

このポイントに、まだお魚が居るのは見えていたが反応しなくなっていた。
目的は達したようだ。


もうヤマメはいいや。ゴギちゃん釣ってから帰ろう。

7寸ゴギちゃん

 

初めての支流にやって来た。

しっかり釣り人の道が出来ているので、腰に負担が掛からず遡行しやすい渓だった。

魚影は薄く、竿抜けポイントで数匹の貧果だった。

が、ゴギちゃんカワイイわ。

お土産

 

妻に花束を忘れてはならない。

 

しゅーりょー


当日またはその後、私と同じ体験をされた方が居られるはずですが、ネット上では見つかりませんでした。

あのポイントの上流でもそれらしい魚影は確認出来ましたから、教育前の個体がまだいるのは間違いありません。

生き残れば秋は40超でしょう。

今年はあの川の尺上当たり年、みたいな事になるかも知れませんね。

出来れば野生を取り戻してから、また出会いたいものです。

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